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大阪高等裁判所 昭和25年(ネ)77号 判決 1956年9月14日

控訴人(原告) 北浦重之

被控訴人(被告) 大阪市東淀川区農業委員会

主文

本件控訴を棄却する。

控訴費用は控訴人の負担とする。

事実

控訴人は「原判決を取消す。大阪市東淀川区農地委員会が昭和二十三年十月十八日原判決末尾添付の物件表記載の土地についてした買収計画はこれを取消す。訴訟費用は第一、二審共被控訴人の負担とする。」との判決を、被控訴訴訟代理人は「控訴棄却」の判決を求めた。

当事者双方の事実上の陳述は、控訴人に於て「原判決末尾添付の物件表記載の土地は現況は農地であるが、近く使用目的を変更するのを相当とする農地である。被控訴人は大阪市東淀川区農地委員会の地位を法律上当然承継したものであるから、被控訴人に対して本訴請求をするものである。」と述べた他、原判決の事実記載と同一であるから、ここにこれを引用する。

理由

控訴人は原判決末尾添付の物件表記載の土地の所有者であつたところ、大阪市東淀川区農地委員会は昭和二十三年十月十八日右土地について自作農創設特別措置法に基く買収計画を立て、同月十九日これを公告し、控訴人がこれに対し同月二十八日異議の申立をしたところ、右農地委員会は同年十一月十八日右申立を却下し、同月二十日控訴人に対してその通知をしたこと、右土地が現況農地であること、はいずれも当事者間に争がなく、被控訴人が東淀川区農地委員会の地位を法律上当然承継したものであることは明かである。

控訴人は右土地は現況農地であるが、将来市街地となることは必定であつて、近くその使用目的を変更するのを相当とする土地であり自作農創設特別措置法第三条の対象とすべきものでないと主張するが、控訴人は前説示の通り本件目的地の現況が農地であることは争わないのであるから右主張の特別事情については控訴人において立証すべき責任あるにかかわらずこの点につき何等の立証をしないから右事実を認めるに由がない。従つて右事実を理由とする控訴人の本訴請求は認容することができない。

よつて控訴人の本訴請求を棄却した原判決は相当であり、本件控訴は理由がないから棄却すべく、控訴費用の負担につき民事訴訟法第八十九条を適用して主文の通り判決する。

(裁判官 石井末一 大田外一 喜多勝)

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